東京家庭裁判所 昭和29年(家)762号 審判 1954年2月12日
国籍
アメリカ合衆国ハワイ州
住所
東京都目黒区○○町○○番地
申立人
ヘンリー・タツオ・フジタ(仮名)
(申立代理人
佐藤庄市郎)
国籍
アメリカ合衆国ハワイ州
住所
東京都目黒区○○町○○番地
事件本人
ミチコ・フジタ(仮名)
主文
事件本人ミチコ・フジタに対し禁治産の宣告をなす
(家事審判官 近藤綸二)
申立の趣旨
右ミチコ・フジタを禁治産者とする
との御審判を求める。
申立の原因
一、右申立人及び事件本人共にアメリカ合衆国人であつて、事件本人は一九二二年九月一日ハワイ・ホノルルに於て日本人カンタロー・フジタ、同ハナを父母として生れ昭和二十七年十月三十日申立人と共に日本に入国現在前記肩書地に居住して居る。
二、申立人は事件本人の兄であるが右ミチコ・フジタは小学校入学の頃より明らかな智力の発育遅滞が認められ小学校はいずれも(日本語、英語)三年位で中退し其後父母及び兄の下で生育温順で目立つ病癖もないが自己の年令も数え得ず署名も出来ない状態で一般的に言はしむれば白痴である。
三、昭和二十九年十二月頃東京都目黒区大原町国立東京第二病院精神科の鑑定をうけたところ軽症白痴の診断をうけた。而して此の状態は将来も継続するとの診断であつて回復の見込がない。
四、而して事件本人の本国法であるアメリカ合衆国ハワイ州法によれば白痴、精神異常等は心神喪失者として日本にいわゆる禁治産の原因となり後見人を附せらるべきものとする。
事件本人は正に右州法第一二五〇八節の心神喪失者に該当するものであつて同時に右は我が民法第七条に該当するものであるから申立人は法例第四条に依り事件本人につき禁治産の宣告を求めるため本申立に及ぶ次第である。